ストレスチェックは、多くの企業にとって毎年実施している馴染みのある制度ですが、「実施すること」自体が目的化してしまい、結果データが十分に活用されていないケースも見られます。この記事では、ストレスチェックのデータを健康経営の取り組みにどう連動させるか、そのポイントを解説します。
ストレスチェック制度の現状
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、労働安全衛生法に基づき、年1回のストレスチェックの実施が義務付けられています。一方、常時50人未満の事業場については、これまで努力義務とされてきましたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、将来的に義務化されることが決まりました。施行は「公布後3年以内に政令で定める日」とされ、2026年9月時点ではまだ完全な義務化前の段階ですが、遅くとも2028年頃までには全事業場で実施が求められるようになる見通しです。50人未満の事業場での実施率は50人以上の事業場と比べて低いとの指摘もあり、早めの準備が望ましいとされています。
健康経営優良法人の認定基準とストレスチェックの関係
健康経営優良法人認定制度の認定基準には、メンタルヘルス対策に関連する項目が含まれており、ストレスチェックの実施やその結果の活用に関する取り組みも評価の対象になり得るとされています。単に法定義務として実施するだけでなく、集団分析の結果を職場環境改善に活用しているかどうかが、健康経営の実効性を示す一つの材料になると考えられます。
データをどう健康経営に活かすか
個人結果の活用:高ストレス者への対応
ストレスチェックの個人結果で高ストレスと判定された従業員に対しては、産業医面接の申出を勧奨する仕組みが法律上定められています。しかし、申出率は低い傾向にあるとも指摘されており、相談しやすい雰囲気づくりや、申出の手続きをできるだけ簡素化する工夫が重要です。EAP等の外部相談窓口を併用することで、社内窓口では相談しにくいと感じる従業員の心理的なハードルを下げる効果も期待できます。
集団分析の活用:職場環境改善へ
部署・職種単位で集団分析を行うことで、特定の部署にストレス要因が偏っていないかなど、組織的な課題を可視化できます。集団分析結果を人事施策(業務量の見直し、人員配置、管理職への研修など)に反映させることが、ストレスチェックを「実施しただけ」で終わらせないための重要なステップです。
経年データの活用
ストレスチェックを毎年実施している企業では、経年での比較によって、施策の効果測定や、組織的な変化(合併・異動・業務量の増減など)による影響を把握しやすくなります。健康経営の評価・改善のサイクルにおいて、こうした経年データは重要な指標の一つになり得ます。
産業保健スタッフ・人事が連携して行うべきこと
ストレスチェックのデータを健康経営に活かすためには、実施主体である産業医・保健師などの産業保健スタッフと、人事部門・経営層との連携が欠かせません。集団分析結果をどのような形式・頻度で経営層に報告するか、個人情報保護に配慮しながらどこまでの情報を人事施策に反映させるかなど、事前にルールを整理しておくことが望まれます。また、50人未満の事業場では、今後の義務化を見据えて、実施体制(実施者の選任、外部委託の検討など)を早めに準備しておくことも重要な検討事項です。
まとめ
ストレスチェックは、健康経営を「データに基づいて」推進するための重要な情報源になり得ます。制度改正の動きも進んでいるため、自社の実施体制やデータ活用方法について、産業医・保健師などの専門家、必要に応じて社会保険労務士とも相談しながら、厚生労働省・経済産業省が公表する最新情報を確認しつつ取り組みを進めることをおすすめします。



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